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令和7年度の補助金はどうなる?~総合経済対策から読み解く~
令和6年11月22日に、新たな経済対策(国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策~全ての世代の現在・将来の賃金・所得を増やす~)が閣議決定されました。
(参考:内閣府HP-経済対策等)
第1の柱 全ての世代の現在・将来の賃金・所得を増やす
第2の柱 誰一人取り残されない成長型経済への移行に道筋をつける
第3の柱 成長型経済への移行の礎を築く
という3本の柱が設定され、その方向性と施策例を公表しています。
その施策例の中から、来年度実施されると考えられる補助金についても記載されておりますので、内容を細かく読み解いていきたいと思います。
目次
1.中堅~中小企業を対象とした補助金(総合経済対策P.8より)
2.物流関連事業者を対象とした補助金(総合経済対策P.19~20より)
3.宿泊・観光業を対象とした補助金(総合経済対策P.21より)
4.省エネを目的とした補助金(総合経済対策P.35~37より)
5.その他の注目補助金
6.まとめ
1.中堅~中小企業を対象とした補助金(総合経済対策P.8より)
≪省力化・デジタル化投資の促進≫
中小企業生産性革命推進事業を更に充実する。
中小企業生産性革命推進事業は、「ものづくり補助金」、「IT導入補助金」、「小規模事業者持続化補助金」、「事業承継・引継ぎ補助金」の事を指します。注釈では、「中小企業・小規模事業者の制度変更への対応や生産性向上の取組状況に応じて、設備投資、IT導入、販路開拓、円滑な事業承継・引継ぎ等の支援を一体的かつ機動的に実施し、複数年にわたって中小企業・小規模事業者の生産性向上を継続的に支援する事業。」とされていますので、これまでのものから大きな変化は無さそうです。
人手不足が深刻化する中、省力化投資に関して、カタログから選ぶような汎用製品の導入に加え、業務に応じたソフトウェアの簡易な選択及び導入を支援する。その際、生産現場のみならず、会計事務等を効率化するためのIT化も支援するとともに、導入後のサポート支援も行う。
こちらは、現在も公募中の「中小企業省力化投資補助金」についての記載になるかと思いますが、現在、清掃ロボットや配膳ロボット、スチームコンベクションオーブンや券売機など基本的にハードウェアが対象となる補助金です。上記記載によると、これに加えソフトウェアの導入についても記載されています。こちらは「IT導入補助金」の対象となっている範囲かと思われます。どういった枠組みでもって上記を実現するのかは今後明らかになってくるでしょう。事業者それぞれの業務に応じたオーダーメイド型の省力化投資を支援する。
令和6年度に実施された、「ものづくり補助金・省力化(オーダーメイド)枠」とほぼ同様のものであると考えて良いかと思います。補助上限額も最大で1億円と、これまでのものづくり補助金の補助上限額を大きく上回るものとなっていました。人手不足感の強い業種について、各事業所管省庁が、それらの業種に属する事業者の省力化投資を促進するための具体的プランを早急に策定する。 地方においても賃上げが可能となるよう、中堅・中小企業が工場等の拠点を新設する場合や大規模な設備投資を行う場合についても支援を行う。
こちらも令和6年度に実施された、「中堅・中小企業の賃上げに向けた省力化等の大規模成長投資補助金(中堅・中小成長投資補助金)」に該当する記載になるかと思われ、施策例にも記載されています。補助上限額も50億円とその名の通り大規模な投資に対応し得る補助金でしたが、その分採択への道は狭き門で15%以下となっていました。 また、この「中堅・中小成長投資補助金」では採択の結果について興味深い資料((参考)1次公募における各種指標の中央値)が公表されており、申請者全体と採択者の事業計画の売上高成長率・増加額や補助事業成長率・増加額、賃上げに関する数値の中央値が比較されています。中堅・中小成長投資補助金HP 1次公募の採択者について
申請をご検討の方は、事業計画策定にあたっての参考にしていただけると良いかと思います。
事業再構築補助金については該当する記載が見当たりませんので、前回の第12回公募をもって終了するものと考えて良いかと思います。
この他、総合経済対策~政策ファイル~では、システム構築・設備投資支援(省力化のためのシステム構築及び設備投資を支援。)として、新補助金なのか、それとも既存補助金の新しい枠なのか、これまでに無い内容が紹介されており、施策例の「中小企業の成長投資・生産性向上投資・省力化投資等の一体的な支援」の枠組みの中で実施されるようです。
補助上限最大8,000万円、補助率1/2(賃上げで2/3)。
支援事例:高精度の素材加工設備導入、ドローン導入、受注管理アプリ開発、ビッグデータ(POSデータ)分析サービス開発等
ドローンは省力化投資補助金のカテゴリになるのかな?と考えていましたが一向にカテゴリ登録されていません。上記枠組みにて導入の支援を進めていくのでしょうか。
ドローンについても総合経済対策にて、ドローン配送、レベル3.5飛行申請のオンライン化やレベル4飛行の実現に向けた措置といった項目も盛り込まれているところです。
2.中堅~中小企業を対象とした補助金(総合経済対策P.19~20より)
≪地域の生活環境を支える基幹産業等の活性化(物流・交通)≫
商慣行の見直しに関し、改正物流法の施行に向け、荷主・物流事業者の物流効率化の取組状況の調査や広報を行い、物流改善や標準的運賃の普及につなげるとともに、荷主の物流効率化に資する取組を支援する。荷主・消費者の行動変容については、宅配ロッカー等の多様な受取方法を普及する再配達削減の取組の実証を支援する。
令和6年度に実施された、「物流効率化に向けた先進的な実証事業・①荷主企業における物流効率化に向けた先進的な実証事業②自動配送ロボット導入促進実証事業」の内容を踏襲したものと考えられ、補助上限額は①中堅企業5億円・中小企業1億円。②大企業4,000万円②中小企業8,000万円となっていました。施策例では「持続可能な物流を支える物流効率化実証事業」が該当する施策かと思われ、名称も令和6年度から変更されていますので、内容についても調整がありそうです。
3.早期経営改善計画策定支援を受けられるのは?
≪地域の生活環境を支える基幹産業等の活性化(観光)≫
観光地の再生・高付加価値化を進めるため、観光・宿泊施設の改修を支援する。訪日観光客の地方への誘客を促進するため、地域の多様な観光資源を活かした体験コンテンツの造成、高付加価値なインバウンド観光地づくりを支援する。デジタル技術を活用したオーバーツーリズムの防止・抑制に資する観光需要の分散・平準化、バリアフリー設備の整備、観光地における二次交通の確保など、訪日外国人旅行者の受入環境整備を支援する。
令和6年度に実施されていた補助金のうち、「観光地・観光産業における人材不足対策事業」、「宿泊施設サステナビリティ強化支援事業」、「宿泊施設インバウンド対応支援事業」といったところが近い施策になっていたのかと思います。
施策例としては、「地域一体となった観光地・観光産業の再生・高付加価値化」、「地方誘客促進によるインバウンド拡大」、「訪日外国人旅行者受入環境整備に向けた緊急対策」といったところが該当します。
総合経済対策~政策ファイル~ではもう少し踏み込んだ内容も掲載しており、内容は次のものになっています。
・滞在型観光(例:サステナブルツーリズム)の拠点である観光・宿泊施設の改修
→改修や設計に係る経費を補助(宿泊施設の場合:補助率1/2、補助上限1億円)
・コンテンツ造成(例:伝統工芸体験)等の地域観光資源の磨き上げ
→コンテンツの企画開発、設備導入、プロモーションに係る経費を補助
400万円まで:定額、400万円を超える部分:補助率1/2、補助上限1,250万円
ただ、令和6年度の上記補助金を活用するために、「宿泊業の高付加価値化のための経営ガイドラインに基づく登録制度」に登録されていることが要件とされているものがほとんどでした。
こちらの内容についてはSATO行政書士法人で運営する「民泊・観光事業supportサイト」でもご紹介しておりますので、気になる方はぜひご覧ください。
4.省エネを目的とした補助金(総合経済対策P.35~37より)
≪潜在成長率を高める国内投資の拡大(GXの推進)≫
省エネについては、建物の断熱性向上や工場・事業所・住宅・建築物における設備の省エネ化の取組を支援することによって、取組を加速する。
省エネ分野については対象となる幅が広く、エネルギー使用量の削減や再生可能エネルギーへの転換など、我々の住む住宅のことから非常に専門的な分野まで様々ですが、上記記載の部分は令和6年度に実施されていた「住宅省エネキャンペーン2024」、「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業」、「省エネルギー投資促進支援事業費補助金」(省エネ補助金)などに該当する施策になるかと思います。
施策例では、「断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業」、「省エネルギー投資促進・需要構造転換支援事業」、「省エネルギー投資促進支援事業」が該当するかと思います。断熱窓への~では「加速化」といった文言も入っており、令和6年度よりも強く支援するような意気込みを感じます。
SATO行政書士法人でも住宅省エネキャンペーン2024では、SATO行政書士法人HP記事「今年も始まります、住宅省エネキャンペーン2024」にて記載したような取り組みも進めていました。
この他、令和6年度は各地公体でも省エネに関する補助金を実施していました。上記省エネ補助金は単年度事業で補助上限額が15億円・下限額100万円と大きめな規模の投資を想定しているところがありますが、各地公体で実施されていた類似補助金では補助上限100万円~500万円といった額で、中小企業~小規模事業者の方はこちらの方が活用しやすかったのではないかと思います。
さらに、一定の省エネとなる基準を満たす事で補助金が支給されるという、審査としては他の補助金と比較してわかりやすいものになっているものが多いです。
ただ、中小企業の方々にとってはまだまだ省エネに対する投資意欲が高くないところもあるようで、申請数もさほど多くなかった(?)せいか、申請した方にとっては非常に採択されやすい状況になっていたのではないかと思います。
事業の拡大や新しい事業に挑む事も大事ですが、日々の燃料代や消費電力の削減をして固定費等を下げる事で利益率を上げるというのも大事なことかと思いますので、今後の投資内容としてぜひご検討いただきたい内容です。
5.その他の注目補助金
このほかにも、農業者・農業支援サービス事業者がドローンなど無人航空機の導入に活用可能と思われる「スマート農業・農業支援サービス事業導入総合サポート緊急対策事業」、地方の活性を目指す「ローカル10,000プロジェクト等の推進」、スタートアップ・ユニコーンを目指す企業を支援する「ディープテック・スタートアップに対する事業開発支援事業」といった施策も例として記載されています。これらの補助金についてはまた別の機会にご紹介できればと思います。
ちなみに、あくまで今回の内容は令和6年11月22日時点での資料からご紹介させていただいております。今後補正予算が成立するまでの間の内容が変更される場合もありますので、参考、見通しとしてご確認いただければと思います。
6.まとめ
SATO行政書士法人では、中小企業省力化投資補助金の省力化製品・省力化製品製造事業者登録や販売事業者登録の申請サポート、ものづくり補助金やIT導入補助金、小規模事業者持続化補助金等の国や自治体の補助金申請サポートを多く行ってきております。公募申請から採択後の交付申請・実績報告、補助金受給後の事業化状況報告までトータルでサポートを行ってきた実績をもとにスムーズな手続きをサポートいたします。
また、創業計画策定支援や経営改善計画策定支援、経営革新計画策定支援といった各種計画策定の支援も行っております。
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