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コラム
2024年度補助金はどうなる?【環境省編】
2024年度補助金はどうなる?第4弾となる今回は環境省編です。
昨今、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料依存から脱却し、クリーンエネルギーを主軸とする産業構造、社会システムへの変革を図る取り組みを表すGX(グリーントランスフォーメーション)という言葉が多く聞かれるようになってきました。しかし、GXの推進について日本は諸外国に遅れをとっていると言われており、環境に対しての意識も低いと言われています。そのため、自然環境保全に関する業務を掌る環境省では、GXの推進や環境意識の向上に向けた取り組みや支援を充実させています。
今回は来年度環境省で実施される見込みの補助金をご紹介します。
【今回のポイント】
◎GX推進法が成立し、GX促進の動きが加速
◎自然エネルギーの活用を目指してPPAやストレージパリティの達成を目的とした事業2選!
◎住宅の省エネも促進!既存住宅への断熱窓リフォームで定額が補助される!
★脱炭素社会に向けてGX推進法が成立!
2024年度環境省の施策内容は、GXに関連するものや、環境保全、廃棄物処理などに関連する取り組みが多くあり、その中でもGX関連の取り組みとして、2050年までに温室効果ガスの排出量(+)と吸収量(-)を均衡させ、実質ゼロとすること(カーボンニュートラル)を目標とするものがあります。
2023年6月30日に施行された「脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律(通称「GX推進法」)」は、GX投資を推進させていくための法律であり、その内容には① GX推進戦略の策定・実行、② GX経済移行債の発行、③ 成長志向型カーボンプライシングの導入、④ GX推進機構の設立、⑤ 進捗評価と必要な見直し等が盛り込まれています。
環境省のGX実現に向けた経済対策は「くらしGX」の加速化と「産業GX」の加速化の2つに大きく分けられ、今回はそれらのうち事業者が申請主体となる補助金を紹介していきます。
★民間企業等による再エネ主力化・レジリエンス強化促進事業
“PPA””PPAモデル”という言葉が昨今よく聞かれるようになってきました。“PPA”とはPower Purchase Agreement(電力販売契約)の略で、第三者モデルとも呼ばれます。企業、自治体や事業所又は個人を「需要家」または「需要者」といい、①需要家が施設の屋根や敷地を電力販売業者(PPA事業者)に提供する、②需要家は、PPA事業者に太陽光などの発電設備を設置してもらう、③需要家は発電した電力のうちの使った分の料金を電力販売業者に支払うという形で、需要家は自己投資することなく自然エネルギー電力を使用することができます。
また、最近では“オンサイトPPA”という事業方式もあるようです。“オンサイトPPA”とは、PPA事業者が需要家の敷地内に太陽光発電設備を設置し、発電した電気を需要家が買い取って使用する方式です。オンサイトは敷地内、逆に敷地外に設置する場合は“オフサイトPPA”と呼ばれます。オンサイトPPAは蓄電池を併用することで非常用電源として用いる事が可能で、電気代削減効果も大きくなるとされています。
環境省ではこの“PPA”を含めた自家消費型の太陽光発電設備や蓄電池の導入・価格低減を促進するため、下記を目的として掲げ、6つの補助事業を予定しています。その内2つの制度を紹介します。
【目的】
■オンサイトPPA等による自家消費型の太陽光発電設備や蓄電池の導入・価格低減を進め、ストレージパリティの達成を目指す。
■新たな手法による再エネ導入・価格低減により、地域の再エネポテンシャルの有効活用を図る。
■デマンド・サイド・フレキシビリティ(需要側需給調整力)の確保により、変動性再エネに対する柔軟性を確保する。
※ストレージパリティとは
太陽光発電を導入するときに蓄電池を使用するほうが経済的メリットが大きくなる状態のことをいいます。つまり「太陽光発電+電気代」のコストよりも「太陽光発電+蓄電池+電気代」のコストのほうが安くなる状態です。蓄電池は導入コストは高いものの、蓄電池の導入によってランニングコストが下がることで、長期的に考えたときにトータルで見ると費用を下げられるということです。
(1)ストレージパリティの達成に向けた太陽光発電設備等の価格低減促進事業
この事業はオンサイトPPAによる自家消費型太陽光・蓄電池導入に係る経費を補助対象とする制度です。2022年度には『二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金』として3月~7月の4か月間に3度に渡って公募が行われました。
事業目的はPPA等を通じて、太陽光発電設備・蓄電池の価格低減を促進しながらストレージパリティを達成し、日本の再エネの最大限導入と防災性強化を図ることとされており、ストレージパリティの達成のため、蓄電池(V2H充放電設備含む)導入が必須となっています。
太陽光発電設備の補助額
業務用施設 | 産業用施設 | 集合住宅 | 戸建住宅 | |
PPAリース | 5万円/kw | 7万円/kw | ||
購入 | 4万円/kw | – |
(2)新たな手法による再エネ導入・価格低減促進事業
この事業は駐車場を活用した太陽光発電(ソーラーカーポート)や営農地・ため池・廃棄物処分場を活用した太陽光発電、窓、壁などと一体となった太陽光発電設備の導入を支援する制度です。補助率は1/3~3/5で、新規設備のCO2削減コストが従来設備のCO2削減コストより言ってい以上低いものであることというようなコスト要件があります。
事業目的は「地域の再エネポテンシャルを有効活用するため、地域との共生を前提とした上で、新たな手法による太陽光発電の導入・価格低減を促進する」ことであり、地域の特性を活かした自然エネルギーの活用方法を推進しています。
★断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業
住宅に向けた省エネ推進事業として「断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業」という制度も行われる予定です。この制度は、既存住宅の断熱窓へのリフォームを促進するもので、窓(ガラス・冊子)の断熱改修工事に係る費用が補助対象となり、工事内容に応じて定額(補助率1/2相当)が補助されます。
2023年度も同様の制度が実施されていましたが、住宅所有者が申請するものではなく、施工業者が申請して補助金を受け、その分を住宅所有者へ還元する形の制度でした。2024年度も同様の申請スキームで実施されるものと予想されます。
【事業目的】
■既存住宅の早期の省エネ化により、エネルギー費用負担の軽減、健康で快適なくらしの実現、2030年度の家庭部門からのCO2排出量約7割削減(2013年度比)に貢献し、くらし関連分野のGXを加速させる。
■先進的な断熱窓の導入加速により、価格低減による産業競争力強化・経済成長と温室効果ガスの排出削減を共に実現。
■2050年ストック平均でZEH基準の水準の省エネルギー性能の確保に貢献。
この他にも、「既存住宅の断熱リフォーム等加速化事業」や「業務用建築物の脱炭素改修加速化事業」において、既存の一般住宅や業務用建築物の断熱・脱炭素化、新築建築物にも用いられるZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)普及促進に向けた「省エネルギー建築物支援事業」など建物に関するものから、商用車(トラック・タクシー・バス)の電動化(BEV、PHEV、FCVなど)のための車両及び充電設備の導入に対する補助を行う「商用車の電動化促進事業」なども実施される予定となっています。
また、2023年度は自治体でも製造業や旅館業などの事業を営んでいる者に対し、省エネに関する設備導入を支援する補助金も多数実施されており、旧型の消費電力が大きいものから新型の高効率な設備への入れ替えといった場合にも用いる事が可能でした。2024年度も引き続きこのような支援は継続されていくと思われます。
これらの制度は直接事業収益に結び付きにくい投資を伴うものですが、長い目で見ると経費の削減になる場合や、お客様や取引先からの需要・要望に応えるために必要な場合があります。
SDGsの目線では、自社のみの活動だけではなく、サプライチェーン排出量のようなサプライチェーン全体での排出量(通勤など従業員の活動まで含む場合も)を評価するというものもあります。取引先などを勘案し、事前の設備投資が必要かどうかも考えておかなければならないのかもしれません。
SATO行政書士法人では補助金に関するご相談や申請のサポートを行っております。スムーズな申請や活用のための提案などを行っておりますので、お気軽にご相談ください。
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