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    2024年度補助金はどうなる?【観光庁(観光分野)編】

新型コロナウイルス感染症の流行により、国内の移動制限・自粛及び全世界において大規模な渡航制限がされたことにより大きな打撃を受けた観光産業。今年4月29日にようやく日本政府は入国解除を含む水際対策を終了しました。日本政府観光局(JNTO)の調査によれば、コロナ禍の入国制限の反動もあり、2023年9月の訪日外国人旅行者数(推計値)は218万4300人で、コロナ前の2019年比約96%(2019年実数:227万2883人)にまで回復し、コロナ前の水準に近づいているようです。
インバウンドや国内旅行者の回復自体は喜ばしいことですが、コロナ禍による爪痕も大きく観光分野が抱える課題というのはまだ多いようです。こういった課題に対する取組や、さらなる観光事業の拡大を支援するため、観光庁でも様々な補助制度が実施される見込みとなっていますので、その内容を令和5年度観光庁関係補正予算資料からいくつか見ていきましょう。




【今回のポイント】
◎インバウンド向けの新しい取り組みには『特別な体験の提供等によるインバウンド消費の拡大・質向上推進事業』を活用!
◎人材確保に活用しよう!『観光地・観光産業における人材不足対策事業事』
◎宿泊施設の省エネなら『宿泊施設サステナビリティ強化支援事業』を活用!




★特別な体験の提供等によるインバウンド消費の拡大・質向上推進事業


インバウンド需要を取り込む新しい取り組みを行うなら「特別な体験の提供等によるインバウンド消費の拡大・質向上推進事業」を活用できるかもしれません。
この事業は『日本における観光資源(自然、文化、食、スポーツ等)を、早朝夜間や未公開・非混雑エリア等の十全な活用と組み合わせ、これまでにないインバウンド需要を創出、期間限定の特別な体験として提供』するような事業を支援する制度です。具体的な取組としては、歴史的建造物の夜間特別占有ツアーや国立公園の立入禁止区域特別ツアー、美術館での学芸員解説付き貸し切りツアー等が想定されているようです。

この事業目的は“インバウンド消費の拡大と地方への波及。そして、その魅力を世界に発信すること”であり、特に地方において自然や伝統文化活用、食の地産地消、地域人材の活用等を奨励し、地域の目玉となる様々な資源を集約した「地方プレミアム体験コンテンツ」の創出を促進していきたいという狙いがあるようです。

さらに、この事業では早朝夜間や未公開・未混雑エリアや地方が対象とされています。これは観光地に耐えられる以上の観光客が押し寄せてしまった結果、過剰に混雑することにより生じる弊害オーバーツーリズムへの対策と新規観光地開拓を併せて行っていこうという狙いもあるのではないでしょうか。

【事業内容】
事業形態:直轄事業・間接補助事業
(1)国・地方型(直轄事業):上限8,000万円(最低事業費:3,000万円)
(2)民間企業型(補助事業)
①インバウンド規模3,000名以上:1,500万円定額1,500~6,000万円まで補助率1/2 (最低事業費:2,500万円)
②高付加価値:1,000万円定額1,000~3,000万円まで補助率1/2
(最低事業費:1,500万円)(単価3倍以上)
このコラムをご覧いただいている皆様は(2)が対象でしょうか。



★観光地・観光産業における人材不足対策事業事



インバウンドによる観光需要は復活しつつあるも、宿泊業においては人手不足が深刻な問題です。帝国データバンクの「人手不足に対する企業の動向調査(2022年4月)」の調査では、人手不足を感じている企業の割合は45.9%、また、非正社員に関しても、27.3%が人手不足を感じているという結果となっています。人手不足はコロナ禍前より問題となっていましたが、コロナ禍を経たリベンジ消費による観光需要を受け、さらに拍車がかかったようです。宿泊事業者に話を聞くと「2年間まともに仕事ができなかった、あるいはそれまでの経験者がこの期間に業界から離れてしまったことから従業者の質の低下というのも顕在化している」という課題も新たに出てきているようです。

このような人材不足の課題の解消に対して「観光地・観光産業における人材不足対策事業事」が活用できるかもしれません。
この事業はその名の通り、人材確保に向けた説明会・イベントの出展費や省人化に向けた配膳・清掃ロボットの購入等、人材不足の解消に向けた支援制度です。

【事業内容】
①人材確保支援
大型の合同企業説明会等における宿泊業の魅力発信イベントの実施等、事業者の採用活動を全面的に支援
②人材活用の高度化に向けた設備投資支援
人手をかけるべき業務に人材を集中投下し、サービス水準向上・賃上げを実現するため、スマートチェックイン・アウト、配膳・清掃等ロボット、チャットボット、予約等管理システム(PMS)等の設備投資を補助
③外国語人材の確保
特定技能試験の受験者を増やすためのジョブフェア等のPR活動、試験合格者の雇用
■事業形態:直轄事業 間接補助事業(補助上限①③②500万円、補助率1/2)
■補助対象・請負先:民間事業者 国民間事業者(事務局)宿泊事業者①③② → → 省人化に向けた設備投資に対しては、2024年度補助金はどうなる?【経済産業省編】でご紹介した「中小企業省力化投資補助事業」や「IT導入補助金」でも同様の設備投資で補助対象にもなりそうです。

このように、1つの設備投資計画において複数の補助金が選択肢に入る場合があります。このような場合は、“交付決定の時期と設備導入のタイミングはどうか、“より自己負担の少ない方法はどうかといった点に着目し、より適切な制度を選択すると良いでしょう”。1つの設備に対して複数の補助金の交付を受けてしまうと違反となりますので、ご注意ください。



★宿泊施設サステナビリティ強化支援事業



宿泊施設・観光施設における省エネ型ボイラー、太陽光発電、省エネ型空調等の省エネ設備等の導入を検討する場合は「宿泊施設サステナビリティ強化支援事業」が活用できそうです。

この事業の目的としては、訪日外国人旅行者を中心にサスティナブルな旅行(サスティナブルツーリズム)や宿泊施設の選択意向が年々高まっていることを背景に、日本国内の宿泊施設においてもサスティナビリティ強化を行うことで、世界の旅行者に日本のサスティナブルツーリズムの取組をアピールすることと共に、旅行先としての選択肢から日本が外されてしまうことを防ぐことのようです。今年度も宿泊業における省エネ設備導入支援は行われていたので、引き続き来年度も実施されるものと見込まれます。今年度についてはこの制度を自治体毎に実施しているケースが多くあったようです。

【事業内容】
■事業形態:間接補助事業(補助上限1,000万円、補助率1/2)
■補助対象:国民間事業者(事務局)宿泊事業者
ここまでは国が出資する補助金を取り上げてきましたが、これらの他、今年度は東京都限定で公益財団法人東京観光財団(TCVB)でも様々な支援を行っていましたし、北海道札幌市では、北海道の温泉街である定山渓の集客力向上のための「令和5年度定山渓地区アクティビティコンテンツ推進事業」といった制度も実施されていました。各自治体でもその地域の観光事業を盛り上げようとしていますので、観光事業に取り組んでいる方やこれから参入したい方等は上手にこれらの制度を活用していただければと思います。



SATO行政書士法人では補助金に関するご相談や申請のサポートを行っており、スムーズな申請や活用のための提案などを行っております。また、宿泊業の許可申請、民泊の届出についてのサポート、申請代行も承っておりますので、ご気軽にご相談ください。

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