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売上高100億円を目指す企業のための新制度『100億宣言』の申請サポートいたします
令和7年度から新たに始まることが予告されている大注目の制度「100億宣言」。5月頃にポータルサイトの公開が予定され、本格的に制度が開始されます。そこでこの記事では「100億宣言」の概要や目的、対象となる企業、100億円企業のモデルケース等について、現時点で公表されている情報をもとに解説していきます。
目次
1.100億宣言とは?
(1)100億宣言の概要
(2)100億宣言の目的
(3)なぜ100億企業?
2.対象となる企業は?
(1)売上高と中小企業等
(2)みなし大企業
(3)企業グループでの宣言
3.100億宣言の宣言内容
(1)宣言内容
(2)宣言が認められない場合
4.100億円企業のモデルケース
1. 100億宣言とは?
(1)100億宣言の概要100億宣言は、令和7年度から新たに開始される制度で、「売上高100億円を目指す、その目標や取り組み内容を、中小企業庁が運営するポータルサイト上で宣言し、公表する」というものです。実際の申請受付は5月開始予定とまだこれからになりますが、その内容についての情報が徐々に公表されています。
(2)100億宣言の目的
公表資料「100億宣言」とはのうち、「100億宣言」に込めた想いのページでは、日本が自動車産業を興し、世界に展開していった事例を引き合いにし、成長に向けた変革期であることをアピールしています。
また、2023年6月に公表されている資料「中小企業の飛躍的成長に向けた政策の方向性ー「100億企業」への成長に向けて ー」によると、スタートアップ企業のみではなく、創業者では無い2代目以降の経営者の代において売上高100億円を達成し、その地域の牽引や外需拡大に貢献した企業も引き合いに出しつつ、中小企業の潜在可能性を発掘・支援していくことを目指しています。
さらに2024年6月には第2次中間報告書も公表されており、100億企業の創出に向けて準備されてきたものが、今年実行に移されるという流れになっています。
(3)なぜ100億企業?
売上高100億円を超える企業の特徴として、輸出等による海外需要の獲得や地域内調達による需要の拡大及び創出、雇用増加と賃金の引上げなどによって、地域を牽引する企業と言える規模と言えます。特に地方においてはその傾向は顕著になるかと思いますが、現在、売上高100億円を超える企業は、どのような業種においても東京都・大阪府・愛知県の3大都市圏に集中している構造になっています。
地方には成長ポテンシャルを持つものも、成長機会を得られず芽が出ない企業が存在しているとし、その企業に対しての支援、地方における100億企業の創出も目的となっているのでしょう。
2. 対象となる企業は?
(1)売上高と中小企業等100億宣言の対象者は売上高が10億円以上である中小企業です。また、100億を目指すわけですので、売上高100億円を超えている企業も対象外になります。
中小企業かどうかの判断は、中小企業基本法上の中小企業者あるいは、税法上の中小法人に該当する企業等に該当するか否かです。
a.中小企業基本法上の中小企業者
中小企業庁HP中小企業・小規模企業者の定義より
https://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/teigi.html

b.税法上の中小法人
国税庁HP 措置法上の中小法人及び中小企業者
資本金の額もしくは出資金の額が1億円以下であるもの、または資本もしくは出資を有しないもので特定の条件に該当するものを除いたもの(※詳細は国税庁HPにてご確認ください)です。
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/hojin/5432.htm
例えば、小売業を営んでいる事業者で、資本金1億円・従業員数500人の企業の場合、その企業は、中小企業基本法の中小企業に該当しないものの、税法上の中小法人に該当するため宣言の対象となります。
※100億宣言FAQNo.8では、
Q. 資本金1億円の小売業を営む会社ですが、宣言できますか。
A. 中小企業基本法上の中小企業者の定義には該当しませんが、税法上の中小企業の定義には該当するので、宣言可能です。
という内容が掲載されています。資本金が1億円でも従業員数が50人以下であれば中小企業基本法で定義する中小企業ですので、前提として従業員数が50人を超えており、中小企業基本法で定義する中小企業に該当しない場合を想定しての内容かと思われます。
ただし、この場合100億宣言の対象となっても、100億宣言が申請要件となっている令和7年度の新補助金、成長加速化補助金の補助対象者にはなりませんのでご注意ください。
成長加速化補助金の詳細についてはページ下部にあるリンク先の記事でご紹介していますので、ご興味のある方は是非ご覧ください。
(2)みなし大企業
みなし大企業とは法令等で定められたものではなく、中小企業庁関連の補助金でよく設定されている制度で、申請しようとする子会社の過半数を親会社たる大企業が所有している場合等は、その子会社は大企業とみなし補助対象外とするという制度です。
成長加速化補助金では補助対象外とされているみなし大企業ですが、100億宣言においては宣言対象となっています。
(3)企業グループでの宣言
資本関係にある複数の企業(ホールディングス企業等)が、企業グループとして宣言する事も可能です。さらにこの場合はこの資本関係にある企業グループでの売上高100億円の達成を目指す計画も認められます。
ちなみに、この資本関係にある企業グループの場合、グループ全体での売上高が10億円以上であれば宣言の対象になると事務局への問い合わせで確認しております(※令和7年3月27日)。要領等に特段この記載は無いため変更が生じるかもしれませんので、ご参考程度に。
3. 100億宣言の宣言内容
(1)宣言内容100億宣言では企業概要や100億円に向けた具体的な実施計画、その実施体制等をまとめて公表します。経済産業省のWEBサイトでは100億宣言の申請ひな形が公表されています。公表が必要な項目を1つずつ説明します。

① 企業概要(足下の売上高、従業員数等)
まずは宣言を行う企業の基本情報が必要です。具体的には本社所在地、事業概要、従業員数、現在の売上高、法人番号、登録番号、WebサイトのURL、企業ロゴや商品等の自社を象徴するものの写真等です。
② 企業理念や経営者からのメッセージ
次に「どのような理念やミッションを持って事業を行っていくか」、「売上高100億円に向けた意気込み」、「100億宣言を通して実現したいこと」等、自社の想いについて記載します。経営者の顔写真も掲載を求められています。あくまで100億宣言についての内容を記載しますので、自社の宣伝は控えるようにと注意されています。もちろん、他社等の批判や法令違反となる内容もNGです。
③ 売上高100億円実現の目標と課題(売上高成長目標、期間、プロセス等)
売上高100億円に向けて売り上げ目標を定め、直近年度から10年後までの売上目標をグラフ化して記載します。ひな形は売り上げ目標の数値を入力すると自動でグラフが生成されるようになっています。
また、売上高100億円突破のための課題も記載します。
④ 売上高100億円実現に向けた具体的措置(生産体制増強、海外展開、M&A等)
売上高100億円を突破するための手段と課題に対する解決策を記載します。例えば、設備投資による生産体制増強、海外展開、新事業・新分野進出、M&A等、売上高100億円に向けた成長手段を検討し、先進性・成長性も織り交ぜ、短い文章ながらできる限り具体的に記載しましょう。
⑤ 実施体制
売上高100億円を目指すための自社組織体制や外部との連携について記載します。部署の立ち上げや人材登用、コンサルの活用や外部企業、海外企業との提携など、売上高100億円実現に向けた具体的措置を実現するために必要となる実施体制について記載しましょう。
ひな形はPowerPoint2ページ分のコンパクトなもので、公表されるのは1ページ目になります。あまり細かいところまでは記載できませんので、概要・要点を絞り込んで記載していくことがポイントです。
(2)宣言が認められない場合
宣言内容はもちろんなんでも良いという事はありません。せっかく売上高100億円に向けた計画をしてもNGとなる場合があります。NGとなる場合を具体的に紹介します。
① 宣言の内容が制度趣旨に適合していない場合
100億宣言は中小企業が売上高100億円という高い目標を目指し、成長していくことを支援するものです。そのため、企業が現状維持を優先し、成長意欲や売上高の具体的な計画が乏しい場合は制度趣旨に適合していないと判断される可能性があります。また、宣言の要件を満たしていない場合も含まれると思われます。計画の実現性や明確なビジョンを意識して売り上げ拡大計画を検討しましょう。
② 宣誓書による宣誓がされていない場合
宣誓内容は、暴排関連、風適法第2条各項に定める事業を行っていないこと、その他各種法令に違反等が無い事です。
風適法第2条は、風適法で定める「風俗営業」について規定している条項です。いわゆる接待行為を行う飲食店や麻雀、パチンコ店などや性風俗関連など、風適法に定める営業許可を必要とする事業を行っている場合は対象にならないことになります。
ただし、深夜(午前零時から午前六時までの時間)に営業を行う場合の届け出(深夜における酒類提供飲食店営業の届出)についての規程は第2条ではありませんので、バーや居酒屋など0時以降に営業する形態の事業を行っていても宣誓内容には抵触しないことになります。
同様に0時以降に営業するために必要な許可「特定遊興飲食店営業」は、風適法第2条に規定されていますので、こちらの営業を行っている場合は宣誓内容に抵触してしまいますのでご注意ください。
風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第二条
https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC0000000122#Mp-Ch_1-At_2
4. 100億円企業のモデルケース
売上高100億円を目指す企業となると、今ではスタートアップ企業のような企業を思い描く事が多いかもしれません。しかし、中小企業として事業を行ってきた企業が、代替わりや戦略の方向転換により売上高100億円を超えていったケースも存在します。そのモデルケースと特徴を簡単にご紹介します。(1)株式会社星野リゾート
日本の観光業界をリードする企業の1つである星野リゾートは長野県の温泉旅館からスタートしています。1914年の開業当初は個人経営の温泉旅館でしたが、1990年に現経営者、星野佳路氏が4代目社長に就任してから大きく成長しています。1995年に現在の商号「株式会社星野リゾート」に変更し、「日本の観光を楽しくする」をテーマに独自の経営戦略を展開しました。最高級ラグジュアリーリゾート「星のや」や都市型観光ホテル「OMO」、ファミリー向けリゾート「リゾナーレ」等、名立たるブランドを生み出し、リゾート運営会社として様々な旅館の再生・黒字化を行い、売上100億円を達成しています。
(2)株式会社スノーピーク
創業は1958年、山井幸雄商店という金物問屋でしたが、趣味であった登山道具に満足ができず、自ら登山用品を開発したことで、アウトドアレジャーメーカーとして成長していくことになります。さらなる成長のきっかけは後に代表取締役に就任する創業者の長男・山井太氏の入社後で、アウトドアとオフィスを融合した複合型リゾート「Snow Peak FIELD SUITE SPA HEADQUARTERS」の運営やキャンプイベントの開催等、新分野への進出や海外進出により事業を拡大し続けています。
(3)前田工繊株式会社
ジオシンセティック環境資材のパイオニアと言われる前田工繊株式会社は2000年代前半までは売上高70億円程度の道路等の公共工事を得意とする土木資材メーカーでした。2000年代後半以降、さらなる事業拡大を目指し、ソーシャルインフラ事業とインダストリーインフラ事業の2つの分野を柱として幅広い業種の企業17社のM&Aを順次実施しました。令和6年6月期の連結売上高は約545億円と各事業のシナジーを活かし事業領域を拡大しました。
直近では令和7年4月1日に建築・土木資材等の分野で高いシェアを持つ三井化学産資株式会社の全株式を取得し、傘下に加えています。
これら三社に共通して言えるのは、それぞれ異なる事業領域で独自の経営戦略を展開しながらも、長期的な視点と持続可能性への意識、品質と顧客価値の重視、地域社会との積極的な関わりという戦略的要素を有していることです。
星野リゾートは、顧客体験を核とした多角的なブランド戦略と、運営特化型のビジネスモデル、地域との連携を強みとし、独自のホスピタリティ事業を展開。
スノーピークは、徹底したユーザー視点に基づいた高品質な製品開発と、アウトドアライフスタイルの提案、熱心なコミュニティの形成を通じて、顧客との深いエンゲージメントを築いています。
一方、前田工繊は、高度な技術力を基盤に、戦略的なM&Aによって事業を多角化し、社会インフラへの貢献を重視した経営を行ってきました。
これらの共通戦略は、各社の事業特性やターゲット顧客の違いに応じて、異なる形で具体化されており、顧客体験の重視は、星野リゾートにおいては宿泊体験の質の向上、スノーピークにおいては製品の使用体験とコミュニティへの参加、前田工繊においてはインフラ整備の信頼性と効率性として表れています。
地域貢献も、星野リゾートは観光振興、スノーピークは地域資源の活用と誘客、前田工繊は地域企業の活性化と雇用創出という形で実現されていると言えるかと思います。
このような企業の戦略から、自社の今後の戦略を考えてみるのも良いのではないでしょうか。
まとめ
SATO行政書士法人では、創業計画や経営改善計画、経営革新計画等の計画策定の支援を行っております。また、計画の支援から各種補助金の申請、採択後の交付申請・実績報告、補助金受給後の事業化状況報告までトータルでサポートしております。
気になる方は簡単な質問からで構いませんので、お問い合わせください。
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